日本に住んでいて、こんな事もあるんだと思った話
1年前のことなので、引きずっている訳では全くないけれど。
facebookのタイムラインで、彼の撮影したキレイな写真を見たので。
前職で私は営業職として正社員で働いていて、彼はアルバイトで入社してきた。
離職率の高い職場だったので、毎月何人も入社しては辞めていき、また翌月には何人も採用されての繰り返し。
そんな中で、彼は人一倍やる気があって、営業成績も良く、素直でちょっとだけオタクで面白く、目を引く存在でした。
彼がアルバイトとして働いていたのは、写真の勉強をしていたから。
無事カメラマンとしての採用が決まり、半年ほどで彼は転職してしまいました。
もう会えなくなってしまうのが寂しい。
同じ職場にいても一緒に飲みに行ったことはなく、たまに話すくらいで、連絡先の交換なんてできなかった。
どうしても彼と繋がりたくて、私はfacebookで友達申請したのでした。
何人かに一斉に友達申請をして、繋がりたくてしょうがない気持ちをカモフラージュしながら。
そうしたら、彼はすぐに承認してくれて、さらにメッセージをくれた。
嬉しくて、私もすぐに返信して、そしたら彼がLINEのIDを教えてくれて、あっという間に飲みに行く約束をしました。
気になっていた人と、こんなにトントン拍子に進んでしまっていいのだろうかと思いながら、初めて2人で飲みに行く。
新宿駅で待ち合わせして、近くの居酒屋に入る。
彼はあまりお酒が強くなく、私がトイレに立った間に寝てしまったため、酔い覚ましに少し歩こうと提案する。
「家に泊まりに行きたい」とねだってくる。
7歳年下の彼は、自分が可愛いことを知っている。
コンビニでお酒を買い、原宿まで飲みながら歩く。
不覚にも私の方が酔っ払ってしまい、記憶がなくなった私は、彼を自分の家に連れて帰っていました。
翌日、美容院の予約を入れていたので、彼と一緒に渋谷まで電車に乗る。
「マフラー、家に忘れてきちゃった」といたずらっぽく彼が言う。
また家に来るための口実なのかも知れないけど、それも嬉しく思えてしまう。
ただ1つだけ、記憶をなくす前の会話で気がかりなことがあった。
「前の彼女とは、政治が合わなくて別れたんだ」
彼はある野党を支持していて、元彼女は与党を支持しており、政治感がどうしても合わずに分かれてしまったのだそう。
私も政治に興味があり、自分の支持政党があるので、彼の支持政党は支持できない。
でも、何もかも考え方が同じ人なんていないのだから、他の部分はすごく気が合うのだし、政治に関しては個性だと思ってお互いの意見を尊重すればいいと、その時は思ったのです。
「付き合おう」と言われていないのに、またやってしまったと思いながら、毎日LINEは続いていた。
彼が「履歴書を書いているんだ」と言うので「どこに応募するの?」と聞くと、有名な政党機関紙の名前。
彼は「そのような考え方を持っている」レベルではなく、宗教のように熱狂的に政党に傾倒していたのでした。
10年前だったら、私は政治に興味がなく、彼がどんな政党を支持していようとも「彼が好きなものは、私も好き」と思えたのかも知れないけれど。
大人になってしまった私は政治に興味を持ち、自分の考えも変えられず、「政治が合わないということは、信仰する宗教が違うくらい、全く相容れないことなんだ」と初めて知ったのです。
日本は政治に関心のない若者が多いと言わているのに、こんなこともあるのだな。
そもそも、彼とは付き合っていなかったのだから、すべて政治のせいではないんだけどね。